著作権法改正法案
司法書士を志す身として、法改正されるのなら調べておかなければならない。
そう思った今日この頃。
司法書士試験に関係あるかは別として、知識として蓄えておこうと思います。
以下、備忘録。適当に自分でまとめたもの。
参考資料:文部科学省公式HP(著作権法の一部を改正する法律案)
○概要
・インターネットを利用した事業が諸外国に比較して遅れている
・違法配信からの複製が正規事業を上回る規模となっている
異常の三点を踏まえ、著作権をめぐる早急な環境整備が必要と判断。
○改正の趣旨
・骨太方針2007等に基づき、電子化された著作権等(デジタルコンテンツ)の流通促進のため、
インターネット等を介して著作物等を利用する際の著作権法上の課題の解決を図る
○改正の概要
1、インターネット等を活用した著作物利用の円滑化を図るための措置
●様々な社会的要請を踏まえ、権利者の許諾無く次の行為を行えるようにする
・インターネットで情報検索サービスを実施するための複製等
・過去の放送番組等をインターネットで二次利用する際に権利者が所在不明等である場合の利用
・国立国会図書館における所蔵資料の電子化
・その他(インターネット販売等での美術品等の画像掲載、情報解析研究のための複製、送信の効率化等のため の複製、電子機器利用時に必要な複製)
2、違法な著作物の流通抑止
●権利者が安心して著作物を提供でき、利益を確保できる環境を確保するため、次の措置を講じる
・インターネット販売等で海賊版を承知の上で行う販売の申出は権利侵害とする(罰則有り)
・違法なインターネット配信による音楽・映像を違法と知りながら複製することを私的使用目的でも
権利侵害とする(罰則なし)
3、障碍者の情報利用の機会の確保
●障碍者のために、権利者に無承諾で行える範囲を拡大する
・視覚障害者向け録音図書作成が可能な施設を公共図書館等にも拡大
・聴覚障害者のために映画や放送番組への字幕や手話の付与を可能に
・発達障害等で利用困難な者に応じた方式での複製も可能に
4、その他
・登録原簿の電子化
施行期日:平成22年1月
○要綱
○著作権法の一部を改正する法律案要綱
第一 権利制限規定の改正
一 私的使用の目的で行う複製のうち、著作権を侵害する自動公衆送信を受信して
行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行うものは、複製権が及ぶとすること。
(第三十条第一項関係)
二 国立国会図書館においては、図書館資料の原本を公衆の利用に供することによる滅失、損傷又は
汚損を避けるため、原本に代えて公衆の利用に供するための電磁的記録を、必要と認められる
限度において作成することができることとすること。
(第三十一条第二項関係)
三 障害者のための著作物利用の円滑化(第三十七条第三項及び第三十七条の二関係)
1 視覚障害者等(視覚障害者その他視覚にりその表現の認識に障害のある者をいう。)の
福祉に関する事業を行う者で政令で定めるものは、視覚によりその表現が認識される方式により
公衆への提供等がされている著作物について、専ら視覚障害者等の用に供するために
必要と認められる限度において、文字を音声にすることその他当該視覚障害者等が利用するために
必要な方式により、複製し、又は自動公衆受信することができるとすること。
2 聴覚障害者等(聴覚障害者その他聴覚による表現の認識に障害のある者をいう。)の福祉に関する
事業を行う者で政令で定めるものは、聴覚によりその表現が認識される方式により公衆への提供等が
されている著作物について、専ら聴覚障害者等の用に供するために必要と認められる限度において、
音声を文字にすることその他当該聴覚障害者等が利用するために必要な方式により、
当該著作物の音声の複製若しくは自動公衆送信をし、又は専ら聴覚障害者等向けの貸出しの用に供する
ために、その音声の複製と併せて複製ができるようにするということ。
3 著作権者又はその許諾を受けた者等により、著作物について、障害者が利用するために必要な方式
による公衆への提供等がされている場合は、これらの規定を適用しないこと。
四 美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡等の権原を有する
者は、著作権者の譲渡権又は貸与権を害することなくその源作品又は複製物を譲渡しようとするときは、
譲渡等の申出の用に供するため、これらの著作物の複製又は公衆送信を行うことが
できることとすること。
(第四十七条の二関係)
五 インターネットに関する著作物利用及び電子計算機を用いた著作物利用の円滑化
1 自動公衆送信装置を他人の送信の用に供することを業として行う者は、自動公衆送信装置の故障等
による送信の障害を防止すること若しくはその記録媒体に記録された複製物が滅失若しくは
毀損をした場合の復旧の用に供すること又は自動公衆送信を中継するための送信を効率的に行うこと等
の目的上必要と認められる限度において、送信可能化等がされる著作物を記録媒体に記録する
ことができるよこととすること。
(第四十七条の五関係)
2 送信可能化された情報に係る送信元識別符号を公衆からの求めに応じて検索し、及びその結果を提供
することを業として行う者は、必要と認められる限度において、送信可能化された著作物を
記録媒体に記録し、及びその記録を用いて、送信識別符号と併せて自動公衆送信することが
できることとすること。
(第四十七条の六関係)
3 著作物は、電子計算機による情報解析を行うために、必要と認められる限度において、
記録媒体に記録することができることとすること。
(第四十七条の七関係)
4 著作物は、電子計算機において著作物を利用する場合には、電子計算機による情報処理の過程において
その情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で、電子計算機の記録媒体に
記録することができることとすること。
(第四十七条の八関係)
六 三から五までの規定の適応を受けて作成された著作物の複製物をこれらの規定の目的以外の目的で
利用した場合の取扱いその他所要の規定の整備を行うこと。
(第四十九条等関係)
第二 著作権者等不明の場合における著作物等の利用の円滑化
一 第六十七条の裁定制度(著作権者不明その他の理由により、相当な努力を払っても著作権者と
連絡することができない場合として政令で定める場合に、文化庁官の裁定を受けて著作物を
利用することができる制度をいう。)の申請をした者は、文化庁官を定める額の担保金を委託した場合には
裁定又は裁定をしない処分を受けるまでの間、裁定の申請に係る利用方法により、
著作物を利用することができることとすること。
(第六十七条の二第一項関係)
二 一により著作物を利用した者が裁定又は裁定をしない処分を受けたときにおいて著作権者が担保金から
弁済を受けるべき補償金等に関し、額の決定、手続等の規定を設けること。
(第六十七条の二、第七十条、第七十一条等関係)
三 著作隣接権(実演、レコード、放送又は有線放送の利用に関する権利をいう。)についても、
第六十七条の裁定制度及び一・二に掲げる制度の対象とすること。
(第百三条関係)
第三 権利侵害品等の頒布の申出行為についての規制
(第百十三条及び第百二十一条の二関係)
著作権等を侵害する行為によって作成された物等について、情を知って、頒布する旨の申出をする行為を
著作権等を侵害する行為とみなす等の措置を講ずること。
第四 その他
一 著作権登録原簿、出版権登録原簿及び著作隣接権登録簿について、その全部又は一部を磁気ディスクで
調製できることとすること。
(第七十八条等関係)
二 その他関係規定について所要の整備を行うこと。
第五 附則規定
一 この法律は平成二十二年一月一日から施行すること。ただし、第四の一については
公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
二 所要の経過措置について規定すること。
とりあえず、ここまで。
他にも理由や新旧対照表などがあるのですが、あまりにページ数が多いので気になる人だけ目を通して見てください。
ただ、かなり身近な法なので知っていて損は無いと思います。
では、また。